TRAINING ZONES

なぜアスリートは速いスピードで2時間も走り続けることができるのか?

なぜメタボの人はゆっくり走っても5分で息切れになってしまうのか?
 

体の中の何が違うのか?
理解できると
もっと速く走れる体の作り方が見えてきます。
そしてなんと習慣病の改善方法のヒントになるのです。

わかりやすく解釈する為に、自分の体がハイブリッドの車だとイメージしてみてください。ハイブリッド車は油を燃やすエンジンで動き、パワーが必要なときは電気バッテリーの力がアシストします。

人間も2種類の筋肉があり、ゆったり走っているときは脂を燃やす遅筋(ちきん)を使い、パワーが必要なときは糖を燃やす速筋(そっきん)がアシストします。
 

油を燃やすエンジン

  • 遅筋(ちきん)

  • 赤い筋肉

  • 脂肪酸を使う

  • 持久性に優れていますが、

  • エネルギーを作るのがのろいので速いスピードでは不十分。

  • 筋肉の中にある小生物ミトコンドリアが脂肪酸を燃やしてエネルギーを作ってくれます

電気バッテリー 

  • 速筋(そっきん)

  • 白い筋肉

  • 炭水化物からの糖を使う

  • 速くエネルギーを提供できるけど持久性に弱い

  • ミトコンドリアなどなくても糖を燃やしてエネルギーを作る

油を燃やすエンジン (遅筋)は持久性が高く長距離を走るのにはバツグン。

でも作業がノロくて、短期間に大量のエネルギーが必要なときに困ってしまいます。

そんなときにアシストに入ってくれるのが力が強いを持った電気バッテリー。

スピードが上がれば上がるほどもっと素早くエネルギーが必要になるので任務がエンジンから電気バッテリーにどんどんシフトします。全力ダッシュのときは100%電気バッテリーになります。

 

力強い電気バッテリーの弱みは持久力です。電気バッテリーが燃やす糖の量には限りがあります。速ければ速いほど糖を燃やすペースが上がり、短時間で電気バッテリーが無くなってしまいます。走るペースが上がると、そのペースで走り続けられる距離が短くなるのです。なので本当は電気バッテリーは出来るだけ使いたくないのです。

 

電気バッテリーが空になるとエンジンだけで走れるゆったりペースに落とさないといけません。体にはバッテリーを充電する機能があり、ゆっくりですが肝臓が糖を作ってくれてバッテリーを充電してくれます。

グラフの例:

同じ15 km/h (1kmを4分のペース)

 

メタボの人  = 100メートル 

100%電気バッテリー(糖)

 

定期的に走る一般人 = 3km

油を燃やすエンジン &

電気バッテリーの両方 (脂肪酸&糖)

 

アスリート = 57 km

主に油を燃やすエンジンだけ (脂肪酸)

 

(全てたとえの結果でイメージです)

メタボ

​アスリート

何が違うのか?

エンジンの大きさです。
メタボはオイルタンクを引っ張る軽自動車
一般ランナーはPRIUS
アスリートはポルシェ

エンジンの中をみると、ポルシェはたくさんのピストンがあり、
一つ一つのピストンが大きい。
油を燃やして多くのエネルギーが作れます。
軽自動車のピストンは少なくて小さい。

人間の体だと遅筋の中でピストンの役割をしているのがミトコンドリア。
ミトコンドリア(mitocondria)とは細胞の中に住みついているバクテリアのような物(実際はオルガネラ)。遅筋にはたくさんあり、速筋には少ない。
遅筋の中でミトコンドリアは脂肪酸を燃やしてエネルギーを作ってくれています。

アスリートの遅筋には一般人より3〜4倍のミトコンドリアがあり、
一つ一つのミトコンドリアが大きい。
だから油を燃やすエンジンだけのエネルギーで高スピードを長いこと走れるのです。

 

もっと大きなエンジンにアップグレードできるのか?

 

可能です。
ピストンの数、ミトコンドリアの数を増やせばいいのです。

どうしたら増やせるのか?

人間の体はとても優れていて、負担を与えるとその部分が強くなります。
ミトコンドリアに一番負担を与えるトレーニングがゾーン2トレーニングだとサンミラン博士は説明しています。油を燃やすエンジン (遅筋)の限界のポイント。これ以上のエネルギーが必要になると電気バッテリー(速筋)のアシストが必要になる。
電気バッテリー(速筋)を使わないのでゾーン2だと長い間トレーニングをすることが可能です。このトレーニングを続けると効率よく脂肪酸を燃やしてミトコンドリアを増やし、大きなることがサンミラン博士の研究でわかっています。

運動を定期的に行っている人の場合:

 

Zone 1

いつまででも続けられそうなペース。

楽勝で会話も続けられる。

鼻呼吸を続けられる。

油を燃やすエンジン (遅筋)

 

Zone 2

いつまででも続けられそうなペース。

でもこれ以上ペースアップしたら会話が苦しくなるギリギリのペース。

鼻呼吸を続けられる。

油を燃やすエンジン (遅筋)

 

Zone 3

2〜4時間は続けられそうなペース。

会話は苦しいけど少しなら可能。

油を燃やすエンジン (遅筋)& 電気バッテリー

 

Zone 4

20〜30分しか続けられないペース。

会話は無理。

電気バッテリー

 

Zone 5

2〜5分しか続けられないペース。

電気バッテリー

運動不足な人の場合:

 

Zone 1
いつまででも続けられそうなペース。
楽勝で会話も続けられる。
鼻呼吸を続けられる。
このペースはウォーキングかもしれません。

 

Zone 2
いつまででも続けられそうなペース。
でもこれ以上ペースアップしたら会話が苦しくなるギリギリのペース。
早歩きかもしれません。
鼻呼吸を続けられる。

 

Zone 3
30分ぐらい続けられそうなペース。
会話は苦しいけど少しなら可能。
ジョギングかもしれません。

 

Zone 4 & 5
2-3分しか続けられないペース。
会話は無理。

 

注意点:トレーニング中に複雑なことは考えらないのでとてもシンプルな解釈になっています。実際の人間の体はこの説明の10倍以上複雑です。そしてまだ科学者にも解明できていない部分も多いです。現時点でわかっていることを使って作ったモデルなので、新しい発見があったらモデルを修正することになるかもしれません。

イニゴ・サンミラン博士 (Dr. Inigo San Millan)
Director of Exercise Physiology at the University of Colorado

 

トレーニングゾーンの使い方①

 

1週間のメニューを作るのに便利。

月:Zone 2を1時間

火:Zone 4 & 5を取り入れるインタバルラン

水:Zone 2を1時間

木:Zone 3で自己ベストを狙う

金:休憩

土:Zone 2を1時間

日:Zone 4 & 5を取り入れるインタバルラン

 

基本的には持久力がない速筋(そっきん)を使ったトレーニングの後はリカバリーを入れる。

トレーニングゾーンの使い方②

食事への考え方にも使える。
炭水化物を食べると太ってしまう悩みの人。「私の体質がそうなの」と言いがちですが、実はその体質を改善できるかもしれません。太っていなくても定期的に運動をしていない人は「メタボグラフ」の体になっています。ミトコンドリアが少ないので歩くだけでもバッテリーのアシストが必要。なのでエンジンを使って脂肪酸を燃やすのが苦手な体。バッテリーも小さいのですぐに使ってしまい体が頻繁に糖を欲しがる。糖を食べるとバッテリーが小さいので筋肉に糖をため込む量が少なく、余分の糖は脂肪として保存。このような人はエンジンを使って脂肪酸を燃やす練習が必要かもしれません。ファスティング後にZone 2のトレーニングをすると、体内に糖が少ない状態なので脂肪酸だけを使ってエンジンを強める運動になります。

 

ここからは読む必要はありません。でもマニアックな情報に興味がある人は是非。

分かりやすくするために「乳酸」という言葉を避けました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits1996/11/10/11_10_47/_pdf
この記事にあるようにこの10年間で乳酸の理解が進んでいるのですが昔の考え方を持っている人も多いのでこの説明を入れるだけで複雑な話になります。そして一般人はトレーニング中に乳酸を測ることがとても難しいです。なのでLTなど乳酸を基本としたゾーンは使いにくいことがあります。知っておいて便利なポイントは、メタボな人は歩くだけで多くの乳酸が血液に出ることがあるとサンミラン博士は言います。これは体内のミトコンドリアの状態が非常に悪い証拠です。

ランニングエコノミーの話もしていませんが、ゾーンに関係があります。エンジンを強めなくても効率のいいフォームに改善できるとZone 2のスピードが上がります。

実際は遅筋と速筋だけではなく、中間の筋肉もあります。Type 1, Type 2a, Type 2bとあります。

エネルギー減をわかりやすく脂肪酸と糖と2種類と紹介したのですが実際はもっと複雑です。Glucose, Glycogen, Pyruvic Acid, Triglyceridesなどの言葉を興味ある人は検索してみてください。アミノ酸のことも省いています。

 

酸素の話も避けています。有酸素運動とか無酸素運動がありますよね。脂肪酸をミトコンドリアがエネルギーにするときに酸素が必要です。うんちく的に面白い情報ですがトレーニング方法に影響がないと感じたからです。酸素が必要だからといってもっと空気を吸うとはできないです。知っておいて面白いのは糖を燃やして速筋が使われたときに出る乳酸はエネルギー減として遅筋の中にあるミトコンドリアが摂取することです。なのでミトコンドリアが多いアスリートは多少の乳酸が出ても筋肉で処理するので血液に乳酸が出ないことです。
 

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