top of page

なぜ”ストレス”は健康に悪いというイメージをもたれるようになったの?


*2019年5月14日のポジティブモーニングランで話した内容です。

”ストレス=身体に害” ”ストレスは健康に悪い”

ストレスに対してそのような考え方をもっている人がほとんどだろう。しかし、なぜこのような考え方が広まってしまったのか?

時代は1936年のハンガリーに遡ります。

ハンガリー人の内分泌学者、ドクター ハンズ・シールは、ホルモン移植の研究のため、実験用ラットに、牛の卵巣からとったホルモンを移植したり、胎盤や腎臓からとったホルモンを移植したり、様々な方法を試した。いろんな方法を試したけど、どれも結果は失敗。かわいそうに実験用ラットは全て死んでしまった。

もしかして、牛のホルモンがラットによくないのか?と思ったドクターは、他のホルモンや方法も試したが、どれも同じ症状が起き、しまいには死んでしまった。

そこでドクターは思った、”もしかして、ラットが死んだ原因は、移植されたものが原因ではなかく、針で刺されたりするような、この移植のプロセスで経験することが原因なのか?”

そしてドクターは、このラットにとってとても厳しい状況を、他の方法で、再現することもできると気づく。

むちゃくちゃ暑い・寒い環境に閉じ込めたり、休憩なしでエクササイズさせたり、爆音で圧倒させたり、、、様々な方法を使って、この厳しい状況を再現した。

すると、どの状況下でもラットはみんな48時間以内に死ぬ、という結果になった。

こうやって、ドクターシールはこの実験用ラットに対して行っていたこと、そして、それに対してのラットの反応をストレスと呼ぶことにした。

シール博士は、医師でもあったため、様々な患者を診断していた。

奇妙なことに、様々な病気をかかえた患者の多くが、同時に、熱、疲れ、食欲が無い、といった、その病気の症状でないはずの症状にも悩まされていた。

ラット実験から数年後、こういった患者をみて、ドクターは、ラット実験のことを思い出した。

もしかして、こういったアレルギーや心臓病という大きな病気は、実験ラットのように、ストレスが溜まりすぎたことが原因で起きたのではないか?

そうして、ドクターシールは、”ストレス”は身体が外部からの影響に対して起こす全ての反応、というふうに定義してしまった。ここでの問題は、ラットのように針で刺されたり、熱されたことに対しての反応だけではなく、外部に適応するために起こす行動もひっくるめてしまったことだ。

ドクターシールはその後の人生を”ストレス”の認知度を高めることに従事した。

ストレスマネジメントの本もだした。

そこで彼に目をつけたのが、タバコ産業。

タバコ産業が、お金を払うかわりに、ストレスが健康にどれだけ悪いかという記事を書かせた。シール博士は、アメリカ政府に喫煙がストレスレベルを下げることにとてもいい方法だ!と証言をしてしまった。

では、シール博士は大嘘付きだったの?

実はそうでもないのだ。もし、私たちが実験用ラットが経験したようなことを経験したら、もちろん、私たちも死んでしまうだろう。

問題は、シール博士は、ストレスを、暴力や尋問だけではなく、私たちに身体におこる全てのこと、と定義してしまったことなのだ。

実はシール博士は、実験を続け、全てのストレスが身体に害ではない、いいストレスもあるということを発見して、それを広めようとしましたが、時はすでに遅し。メディアの力で、もうストレスのイメージをかえていくことは手遅れとなっていた。

この話を簡単にまとめると、あなたが、ほとんどの人が浮かべるストレスのイメージは、ラットを使った実験によるものなのだ。

もしあなたがラボラットなら、あなたの1日はこうなる。

朝起きて急に電気棒で関電させられ、しかも1日のいつこの電気棒でまた関電させれるかわからない。バケツで冷水を急にかけられ、溺れるまで水の中で泳がされれる。1人ぼっちの牢屋に閉じ込められ、食べ物もろくに与えられない。

こんな、ハンガーゲームのような毎日、あなたは過ごしてるだろうか?

現代の問題は、ほとんどのストレスの害に対しての記事、情報が拡散しているが、これは全て、ラット実験でしか証明されていないこと。

例えば、ある妊娠している女性が、”妊娠中の女性がストレスを抱えてしまうと、その生まれてくる赤ちゃんに悪影響を与える”という記事を読んでパニックしてしまう。

そしてこの女性は、ストレスが赤ちゃんに害だからといって、ストレスをなくすために飲酒をしてしまう。

ストレスが害という間違った情報のせいで、無駄にパニックやうつになるだけでは、なく誤った判断、もっと身体や赤ちゃんに悪いことをしてしまう。

ちなみに、2011年の研究によると、本当に高度のストレス(テロリストのアタックから逃げる生活、長期に渡るホームレス生活)のみ、赤ちゃんに悪影響(未熟児など)を与え、みんなが日々かかえるストレスは全く悪影響を与えないということがわかっている。

むしろ、こういった毎日のストレスは生まれてくる赤ちゃんにいい影響のようだ。

お母さんがの子宮の中で生産されるストレスホルモンが、ストレスに対応の仕方を赤ちゃんの神経系に教える、ということも研究で証明されている。

*この話の情報はThe Upside of Stressからきています。

特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page